急な大規模通信障害を対策するには?
予防する方法も解説

私たちは、職場だけではなくプライベートでも、リモートやクラウドなど「通信インフラ」を必要とするものを多く利用しています。そこで気になるのが「大規模通信障害」です。
すでに「通信インフラ」に依存しているため、影響が大きくなることが考えられます。そこで、私たちのとれる対策や予防方法があるか考えていきましょう。

1.大規模通信障害とは

大規模通信障害の定義と原因

まず、「大規模通信障害」とはどういったものでしょうか?
一般的には、「通信インフラ」の一部または複数の部分において発生する「重大な障害」を指しており、これにより、広範囲な地域や多数のユーザーが通信サービスの利用に制約を受けた場合などを言います。

「大規模通信障害」の原因はさまざまですが、次のようなことが考えられます。

  • システムの過負荷
    通信ネットワークが予想以上のトラフィックや負荷に対処することができない場合、システムが過負荷になり、通信障害が発生する可能性があります。特に、急激なトラフィック増加や予測不能なイベントによる需要の急増が原因となることがあります。

  • システムの故障
    通信ネットワークのコンポーネントや機器の故障、ソフトウェアのバグ、アップグレードやメンテナンスの失敗なども通信障害の原因となります。

  • 自然災害
    地震、洪水、台風などの自然災害でも、通信インフラストラクチャーに深刻な被害を与えることがあります。電力供給の中断、通信ケーブルの損傷、通信基地局の破損などが発生した場合、通信障害が発生する可能性があります。

  • 人為的な要因
    人為的なミス、建設作業、工事、ケーブルの故障、ハッキング攻撃なども大規模通信障害の原因となり得ます。これらの要因によって通信インフラストラクチャーが損傷を受け、サービス提供が妨げられる可能性があります。

過去に発生した大規模通信障害の事例

記憶にあたらしいものもありますが、ここ最近「大規模通信障害」が発生した事例は次のとおりです。

発生日キャリア影響範囲
2018年12月ソフトバンク約3060万回線に影響、復旧までおよそ4時間半、音声通話、データ通信が使いづらい状況が続いた
2021年10月NTTドコモ累計1290万に影響、復旧までおよそ29時間、音声通話、データ通信が使いづらい状態が続いた
2011年7月KDDI約3091万人に影響、復旧までおよそ61時間25分、音声通話、データ通信が使いづらい状況が続いた

各社とも多くの回線や人に影響がありました。

2.急な大規模通信障害に対する対策

ネットワークの冗長化とバックアップの重要性

「大規模通信障害」はどのキャリアでも起こりえるため、その対策が重要と考えます。
まずは、「通信インフラ」の冗長性を高めることが重要です。冗長化とは、簡単に言うと「システム」や「設備」のまったく同じスペアを準備しておくことで、冗長なネットワーク経路やバックアップシステムを導入することで、1つの障害が発生しても他の経路やシステムが引き継ぐことができます。また、「電源」も対策が必要で、自然災害や電力供給の問題によって通信インフラストラクチャーが停止するリスクを軽減するために、バックアップ電源(UPSや発電機)を設置することが重要です。これにより、電力供給が一時的に途絶えた場合でも通信サービスの提供を続けることができます。

システムの監視と障害対応のプロセス

事前の対策としては、「通信インフラ」の状態をリアルタイムでモニタリングすることが重要と考えます。「障害異常」を早期に検知し、迅速な対応を行うことができます。ネットワーク監視システムやセキュリティシステムの導入により、トラブルの発生や攻撃の検知を行うことができます。
そして、「大規模通信障害」が発生した場合は、迅速かつ効果的な対応が求められます。緊急時の対応計画を策定し、障害復旧の手順や役割分担を明確化しておく必要があります。通信事業者、関連企業、地方自治体、政府機関など障害情報を共有し、連携を強化することが重要です。

クラウドサービスの利用やデータのバックアップの推奨

そしてなにより、「データのバックアップ」が重要です。
通信サービスの継続性を確保するためには、バックアップデータの定期的な作成と保持が重要です。ローカルのファイルサーバーやPCだけではなく、「クラウドサービス」などを利用し、「データのバックアップ」や「レプリケーション」を行うことで、障害発生時にデータの喪失を最小限に抑えることができます。

3.大規模通信障害を予防する方法

予防策の重要性とその効果

予防策としては、まず、通信ネットワークの物理的な「インフラ」を強化することで、災害や外部の要因からの影響を軽減できます。「耐震設計」や「防災対策」を施したものや、「冗長化」を行うことで対策ができます。

セキュリティ対策や適切な更新作業の実施

普段からの予防策として、「通信インフラ」は定期的なメンテナンスを実施し、「点検」「保守」「更新」を行うことで、故障の発生を予防することができます。また、外部からの攻撃による通信障害の予防策としては、「サイバーセキュリティ対策」を強化することで、「ネットワークへの攻撃」や「不正アクセス」からのリスクを軽減できます。「ファイアウォール」や「侵入検知システム」の導入することで、通信障害に巻き込まれるリスクが低くなります。

テストやトレーニングの重要性とそのメリット

「予防テスト」や「トレーニング」も重要な予防策として機能します。「大規模通信障害」が発生した場合の復旧活動をシミュレートする演習を行うことにより、実際の災害時に迅速で効果的な対応ができるようになり、関係者の訓練と連携がスムーズになります。「通信インフラ」のメンテナンス手順、セキュリティ対策などについてのトレーニングも重要です。

そして、「テスト」や「トレーニング」の結果を分析し、「通信インフラ」の強化点や改善点を特定し、システムの脆弱性やリスクを評価し、適切な対策を行うことも予防策としては重要です

4.【まとめ】今後の通信インフラの発展に向けた展望

スマートフォンやIoTの普及により、通信ネットワークに依存したサービスが増えています。全体のトラフィックが大きくなることで、「大規模通信障害」は起きやすくなり、影響も大きくなることが予想されます。
通信業者ではさまざまな対策をされています。「大規模障害発生時」には事業者間の提携(ローミング)を行うことを検討されていたり、通信各社が共同でWi-Fiサービスを無料開放しています。
また、技術的には、中央集権型のネットワーキングから分散型のネットワーキングへの移行が進んでおり、技術的にもブロックチェーンやピアツーピア技術などを活用し、ユーザー間での直接通信やリソースの共有を可能にすることで、通信の信頼性とセキュリティを向上させることも行っています。そして、AIと機械学習技術を通信インフラに組み込むことで、異常検知や障害予測、自己修復などの機能を強化できます。これにより、障害の早期発見や自動的な対応が可能となります。
このようにさまざまな方向から対策が行われていますが、私たちも自身で「対策」や「バックアップ」は重要だと考えます。

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